たき火を囲み、とりとめのない話をする芸術家たち。 画家の山口、音楽家の三富、詩人の藤本は、旅の途中で山間の村に立ち寄る。彼らは森を散策し、雲を眺め、時に動物とふれあうのどかな日々を送る。そこで出会った赤い少女トキの案内で、創作活動を始める。ある日、三富とトキが森に入ったまま姿を消す。雨の森、濁流の川、ふたりを探す山口と藤本の前に、変わり果てたトキの姿があった。 それから数年後、民話を調べる為にアルゼンチンからやってきた作家は、滞在先のホテルで悪夢を見る。そして展覧会である絵に遭遇したその瞬間、現在までの一分一秒という時間が堰を切り、渦巻き、作家の中に流れ込む。